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私たちの活動

【バングラデシュ】危機から1年 ロヒンギャ難民の今 

昨年の8月の大規模なロヒンギャ難民流入の後から約1年がたち、難民キャンプは1つの生活の場として整備がされ始めています。
6月に初めて訪れた難民キャンプは私の想像よりも、整備され、人が多く、活気がありました。
今では小さいマーケットがあったり、作物を栽培している難民もいるなど、多くの人が考えている難民キャンプのイメージとは少し違うところがあるかもしれません。
私が難民キャンプを訪れた6~7月は、私たちの診療所で毎週1~2人の新しい命が産まれていました。私たちの診療所があるHakimpara(ハキンパラ)という地域のキャンプ14では6月の調査時点で約30,000人もの難民が住んでいます。(ISCG Report 6月21日より)

バングラ地図

難民キャンプに住んでいる難民はミャンマーから避難してきた人びとですが、この6月以降に産まれてくる新生児は、この難民キャンプ内で命を授かり、産まれてきた子どもがほとんどです。
一時的な難民キャンプといっても新しい命がこの難民キャンプで産まれてくることに、驚きと感動が込み上げてきます。
私たちの診療所では妊産婦検診と出産介助をおこなっており、今までに32人もの新しい命が私たちの診療所で産まれてきました。
診療所では検診だけでなく、ヘルスワーカーがキャンプ内の各家を訪問し妊産婦の体調を診察し、診療所に来て検診を受けること、出産の時には自宅出産ではなく診療所で出産をするよう説得もおこなっています。

ヘルスワーカー写真
訪問診療時訪問先:ヘルスワーカーが妊産婦の血圧を測る様子

私が訪問診療に付き添っている際、妊娠3か月の女性に出会いました。彼女は数日前から体調を崩していましたが、夫の許可をもらえず、診療所に検診を受けに来なかったそうです。しかし、診察の結果、流産の可能性が大きいとの診断が出ました。
もし訪問診療をしていなかったら、彼女はそのまま流産をしたことに気づいていなかったかもしれません。もし気づいていても適切な処置をされていなかったかもしれません。彼女自身の体にも大きな負担をかける可能性がありました。
結果的に彼女は診療所で検診を受け、流産と判明、その後適切な処置を受けています。
このように難民キャンプでは夫が診療所に行くことを勧めず故に検診を受けることができない女性がいること、また習慣上自宅出産が多いことなど、統計上の数字や日本では目に見えない問題が多く存在しています。

クリニック写真
診療所内:建設して半年以上がたち、多い日では200人以上が診察に来る

今まで通院された方のカルテだけでも約1500以上が存在しています。
難民キャンプを訪れたPWJの稲葉医師からのアドバイスとして頂いたことは、これまでに診察してきた患者の膨大な情報を効果的に利用することでした。
膨大なカルテを現在は紙で保管をしていますが、この情報をパソコンで整理し管理することで、患者の住んでいる場所の分布や病状の傾向などが一目でわかるようになります。
カルテをデータで管理することにより、今後の病気の対策や訪問診療の場所の選定など多くの有益な効果が出てくることが想定されます。少しずつですが、バングラデシュでの事業をより良いものにして、現地のスタッフ・駐在員とともに目に見えない問題を解決し、本当に支援が必要な場所や人に支援を届けることも私たちの使命だと感じています。

スタッフ集合写真
現地スタッフ集合写真

現在も多くの方からご協力を頂いておりますが、PWJとしても今後は支援の幅と質のより一層の向上を目指して活動をしていきたいと思います。今後も皆さまのご支援・ご協力を宜しくお願い申し上げます。
本事業はジャパン・プラットフォームの助成と皆様からの寄付で実施されています。
バングラデシュ事業担当 安間

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