SHARE
facebook X LINE
私たちの活動

生まれ故郷で生活できる喜び

ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、スリランカ東部トリンコマレ県クッチャベリ郡に続き同県のキンニヤ郡で帰還民に対する仮設住宅支援を実施しました。

キンニヤ郡の帰還民は2000年頃に内戦により避難を余儀なくされましたが、2009年5月の内戦終了後も彼らの土地がある地域は軍の管理化に置かれ、現在も厳しい立ち入り制限が行われています。また、避難前は美しい水田風景が広がる実り豊かな土地でしたが、10年近く人の立ち入りが許されなかった土地は密林が生い茂るジャングルと化し、象などの野性動物による獣害が頻発し、居住することが非常に難しい土地へと変貌してしまいました。こうした厳しい状況でも、避難民は生まれ育った土地へ帰ることを希望し、2009年7月頃より軍から土地への立ち入り許可を得るとすぐに一から土地の開拓を開始しました。しかしながら、カジャン(椰子の葉と木材でできた掘建て小屋)を建設し土地を開墾していっても、野生の象が夜な夜な出没し作物を荒らすばかりか住居であるカジャンを破壊する危険があるため、男性以外の定住は困難な状態でした。
 


カジャン(外観)

 


カジャン(内部例)

 
こうした厳しい状況にある帰還民に、安全な住居を提供し彼らが家族で再定住できるように、PWJは同地での仮設住宅支援を決定しました。
けれども、事業実施はなかなかスムーズにはいきませんでした。
第一に、現在も軍の厳しい管理下に置かれているため、事業地に入るために毎回厳しい軍のチェックを受けなければならず、多くの時間をそこで費やさざるを得なかったことです。
第二に、事業地までの道が非常に悪く、一部では車両の通行ができない状態にあったことです。また、事業地のある地域は川に囲まれていて、フェリーでのみ入る事が可能であるため、大型トラックでの資材輸送ができずトラクターでのピストン輸送で対応せざるをえませんでした。
 


悪路(例)

 


フェリー

 
こうした悪条件を乗り越え、帰還民の方々は故郷で再定住できる喜びに溢れていました。仮設住宅建設のデモンストレーション(実演)先となった寡婦のサムディーンさんは「これが完成したら生まれ育った土地で安心して住めるようになるわ。これまではカジャンに住んでいたから孫達も泊まることができなかったけど、これで心置き無く孫を泊めることができるようになるわ。」と嬉しそうに話していました。
 


仮設住宅の前でお孫さんと

 
また、夫婦で帰還したモハマドさんは、「これまではカジャンに住んでいたから、妻は夕方には町に帰していたんだ。象が来たらカジャンじゃすぐ壊されてしまうし…。でも、これならもうそんな心配はないよ。」と完成した仮設住宅の前で語ってくれました。
 


完成した仮設住宅の前で談笑するご夫婦

 
PWJは今後もアセスメントに基づき、必要性の高い地域での仮設住宅支援を継続していきます。

SHARE

SUPPORTご支援のお願い

支援が必要な人々のために
できること

ピースウィンズは世界各地で起こる紛争や災害などの危機に
いち早く駆けつけ、危機にある命を支援します。
また、傷ついた命が自分たちの力で歩んでいけるよう、
復旧・復興・開発に寄り添います。