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私たちの活動

【南スーダン】遠い国のかたち -日本人の知らない南スーダン-

ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、現在、東アフリカのケニアと南スーダンで国内外の避難民の生活支援事業を行っています。ケニアと南スーダンはお隣同士で、海に面していない南スーダンは、石油以外のあらゆる製品を隣国ケニアやウガンダからの輸入に頼っています。農作物や加工品に始まり、事務所用の机やプリンターまで、南スーダンで売っている物はケニアで売っている物と全く同じで驚かされます。輸入品はまず南スーダンの首都ジュバに入り、それから広大なナイル川を下って国の北部へと輸送されます。
ナイル川の流れに乗って首都を出発した後、右手に最初に見えてくる大きな町がボーです。ボーは南スーダン最大の州、ジョングレイ州の州都です。ジョングレイ州にはディンカ族・ヌエル族・ムルレ族など様々な民族が暮らしていますが、その中でもヌエル族は、1920~30年代に有名なイギリス人人類学者によって詳細に研究されたために人類学の世界では広く知られており、その知名度たるや日本の大学の人類学の授業でもたびたび紹介されるほどです。
PWJはこうした様々な民族で構成される村人や元兵士、現地スタッフと協力して、水・衛生の分野で支援活動を続けています。現在はボー周辺の小学校にトイレと手洗い場を建設していますが、ちょうどこのほど、トイレの壁と手洗い場の土台となる煉瓦を積み終わり、屋根の設置作業に取りかかっているところです。ここでは、トイレの屋根と手洗い場のタンクを雨どいでつなぎ、屋根に降った雨水を集めて手洗いに活用するという工夫がなされています。トイレは女子用と男子用の各校2棟ずつ、まずは3つの小学校に設置します。
トイレ建設作業の様子トイレ建設を歓迎する地域住民たち
写真左:トイレ建設作業の様子
写真右:トイレ建設を歓迎する地域住民たち
建設作業と並行して衛生に関する教員研修を6日間かけて行いました。参加した先生たちは、手洗いやトイレを使う習慣とその必要性、村の公衆衛生の循環などについて学びました。その後、研修を受けた先生を中心に、各校で衛生クラブを立ち上げました。衛生クラブの活動を通して、全校生徒、生徒の家族、そして地域住民全体へと、公衆衛生の知識を普及し、人々の行動変化に繋がるよう、PWJは今後も衛生クラブの活動をサポートしていきます。
衛生に関する教員研修の様子研修を修了し、活動用のTシャツと帽子に身を包む先生たち
写真左:衛生に関する教員研修の様子
写真右:研修を修了し、活動用のTシャツと帽子に身を包む先生たち
昨年末に首都で始まった政府内の軍事衝突とそれに続く南スーダン各地での戦闘について、当初は日本のメディアでも連日取り沙汰されていましたが、今では南スーダンという国が日本の皆さんの目に触れる機会はほとんど無くなってしまいました。そんな今も、南スーダン国内では日本から派遣された自衛隊員や日本人を含む国連職員が多く働いています。南スーダンには日本食を食べられるレストランもいくつかあります。日本ではまだまだ知られていない南スーダンですが、世界一新しいこの国とここでのPWJの活動をこのように継続して紹介する場を提供してくださっているタウトク編集部の皆さん、そしていつもこの記事をお読み頂いているタウトク読者の皆さんに、スタッフ一同感謝しています。
広島県に本部を置くPWJは、現在イラク・ミャンマー・ケニア等10か国で支援事業を展開しています。広島土砂災害やフィリピン台風など自然災害発生時に緊急支援に駆けつけるだけでなく、東北では地域に根差した復興支援を着実に進め、本部のある広島の山間部では犬の保護・訓練やまちづくり支援を続けています。緊急支援に始まり、段階的に復旧・復興支援、そして開発支援へと、まずは人々が安全且つ人間的な生活環境で家族を養い自立した生活を送れるよう、PWJは世界のあちらこちらで日々努力を続けています。
報告:清水 貴子(南スーダン事業担当)
※本支援は、ジャパン・プラットフォームからの助成や、皆さまからのご寄付により実施しています。

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