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【ニジェール食糧危機】地域住民600人が参加し、事業が本格始動!

ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、食糧危機の状況にあるニジェール共和国のフィレンゲ郡において、土地整備作業に参加した人びとに食糧購入資金を提供する「キャッシュ・フォー・ワーク」事業を、9月24日(月)から本格的に開始しました。


私たちがフィレンゲ郡フィレンゲ地区にあるカレという地域の高台を訪ねたのは、ATACCA(フランス語での本事業の呼び名)事業の土地整備開始から2日目の25日(火)。前日に環境局スタッフからの実地指導を受けた人びとは、すでに要領を覚えて、15人ずつのグループで、地面に「バンケット」と呼ばれる溝を掘り込む作業の真っ最中でした。

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作業のために集まった人びと(C)PWJ

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バンケットを作る(C)PWJ

この現場は、フィレンゲ郡で同様の作業が実施されている11か所のうちの一つで、ここで作業に参加する人の数は、周辺の7つの村から合計601人にもなります。朝8時頃から各村から道具を手にした人びとが、ごつごつとした急斜面を登り、高台の上で全員が一斉にバンケット完成に向けて作業している光景は、まさに壮観でした。
バンケットとは、土地の傾斜の上方に向けてカタカナの「コ」が開いているようにつくるもので、その大きさは縦10m、横(幅)60mにもなり、土地の状況にもよりますが、40㎝ほどの深さに溝を掘っていきます。こうすることで、地面に降った雨水を貯められるようにして土地の保水力を高め、未来の緑地化につなげます。4時間ほどかけて15人が力を合わせ、バンケットを一つ完成させます。晴れていれば、気温は35度を超え、そんな酷暑の中での作業は容易ではありません。

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完成したバンケット(C)PWJ

作業に携わっているのは、高台の周辺に位置する村々の住民たちです。男女比でいうと、女性のほうが少し多いくらいです。それは、今の時期は、ミル(地元の人が主食とする穀物の一種)を中心とした農作物の収穫に重なるため、世帯主である男性たちは、畑で収穫作業をしていることが影響しているかもしれません。

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働く女性たち(C)PWJ

この現場で娘さんを作業に参加させているというファティマさんに話を聞きました。彼女は62歳で、一家はお孫さんも含む3世代12人家族。旦那さんをすでに亡くされています。
今回の食糧危機はとても深刻で、彼女の家では、食事はかろうじて一日3食できていますが、夕食でもミル(現地語ハウサ語ではトゥアンラブシー)の粉をお湯で練ったものに野菜のソースだけ。朝には前日の残り物を家族で分け合い、昼はブイーユと呼ばれるミルをお湯で煮たものだけです。時には、一日のメインの食事である夕食が、前日にお米を炊いた際に鍋のふちにこびりついたものを乾燥したものと白いんげん豆を煮込んだだけのこともあります。

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話を聞くATACCAスタッフ(C)PWJ

息子さんたちが日雇いで受け取る給料だけが一家の収入で、家畜はすべて病気で死んでしまったために売ってお金を得ることもできず、また、この地域では、彼女のような女性の世帯主は、食糧を買うお金を借りることもできないことが多いそうです。
「PWJの支援がなかったら、本当に大変な状況になっていました。うちの娘ががんばって作業に参加して、お金を受け取ったら、まずは食糧を買い、もしもお金が余れば新しい家畜を買いたいです。」と話すファティマさん。家畜を飼って、いざお金が必要となった時に売れるように備えたいとのことでした。
各現場では、月曜から金曜まで、週5日の作業を6週間続ける予定です。途中休むことなく作業に参加すれば、5人家族がひと月食べられる量のミルを買えるお金を受け取ることができます。農作物を収穫して自分の家で食べられるようになるまで、あるいは農作物を売ったお金で食糧が買えるようになるまでの間、この作業に参加して得られる現金収入は、村の人びとにとって貴重なものです。
フィレンゲ郡の人びとが食糧を手に入れて、家族そろって楽しく食事ができる光景を思い浮かべながら、私たちATACCAチームは、毎日地域の人びとと力を合わせ、この事業を今後も進めていきます。
本事業は、ジャパン・プラットフォームからの助成金や寄付金により実施しています。
報告:齋藤雅治(事業部)

▼過去の記事はこちら

2012.8.30 現金収入の機会となるキャッシュ・フォー・ワークを開始

2012.8.17 現場から第一報が届きました!

2012.8.1 アフリカ・サヘル地域の食糧危機支援に向けて調査を開始

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