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私たちの活動

天候も避難民の敵に -雨季洪水対策用のキャンプ嵩上げと排水路整備-

昨年12月に発生した南スーダン危機から半年が経ちました。
私達ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)をはじめ様々な国際機関やNGOなどからの支援により、国内避難民の生活は徐々に改善されつつあります。PWJは水・衛生分野を中心に支援を続けており、トイレ建設、ゴミ回収、衛生普及員育成、また衛生ワークショップを実施し、避難民キャンプの衛生環境を改善してきました。
南スーダンでは、4月から約半年間続く雨季があります。
日本でいう梅雨のような季節ですが、日本とは比較にならない程たくさんの雨が降ります。赤色をした粘土質の大地は、多量の水を含んでぐちゃぐちゃになり、全国で流通が止まってしまうほどです。未舗装の土の上で生活する南スーダンの避難民と、排水設備の整っている日本とでは、雨の後の状況は全く異なります。

雨季の避難民キャンプ
写真:雨季の避難民キャンプ

排水設備の整っていない避難民キャンプで雨が降ると、水はけの悪い地域や低地は、あっという間に水浸しになり、膝下まで水かさが増します。元々、避難民生活用に整備された土地ではないので、キャンプの地面は凸凹し、自然と小さな川ができてしまいます。
水かさが増えると、キャンプ内には様々な悪影響が出ます。例えば、テントが浸水すると、寝る場所や調理をする場所が失われ、生活に直接支障が出ます。またトイレやゴミ収集所が洪水の影響を受けると、排泄物は溢れ出し、ゴミはいたるところに散乱します。このように、雨が降ることで、キャンプ内は非常に不衛生な状況になるのです。
PWJは例年雨季を乗り越えて事業を実施してきた経験から、こうした雨季の影響にも着目し、早期から対応策を検討・実施してきました。
まずは排水設備を整えるために、避難民の中からスタッフを雇用し、雨水の溜りやすい場所を中心に全長100mの溝をスコップで掘って、新しく排水路を整備しました。その後、指定された排水先へと繋いだことにより、雨水は居住地域に広がる前に排水路を通って流れていくようになりました。

雨季対策として排水路を整備中
写真:雨季対策として排水路を整備中

また、トイレやゴミ収集所は砂利で嵩上げを実施し、浸水被害を最小限に抑えるようにしました。
そしてキャンプ内に点在する水溜りはポンプで排水してから同様に砂利で平らに整備しました。
しかしながら、雨水が溜まって不衛生になっている場所はまだ残っており、地方から逃げてきた避難民、特に子ども達は、そこで水浴びをします。これに対し、衛生普及員達による衛生指導や学校等でのワークショップを通じ「不衛生な滞留水がどう健康を害するのか」について理解を促進させ、水溜りでの水浴びをやめるよう呼びかけています。
他にも、雨季特有の突風で仮設トイレや水浴びシェルターが壊れ、ジュバ最大のキャンプは浸水がひどいために閉鎖せざるを得なくなり、PWJが事業を実施するキャンプに数万人単位の避難民が引っ越するなどの課題が出て来ています。
一つの課題が終わると新たな課題が見つかるという根気のいる現場ですが、その中でPWJができることを着実に実行し、避難民の生活改善へ向けて尽力していきたいと思います。
報告:長村 裕(南スーダン事業担当)
※本支援は、ジャパン・プラットフォームからの助成や、皆さまからのご寄付により実施しています。

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