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【ウガンダ】西部チャカII難民居住地区における給水衛生支援 ~ 完了報告②学校を対象とした支援 ~

ピースウィンズが、2022年10月から2023年7月にかけて、ウガンダ共和国(以下、ウガンダ)西部にあるチャカII難民居住地区において実施した、水と衛生(給水衛生)に関する支援事業では、①多くの住民が利用する共用設備の支援と、②学校を対象とした支援、そして③障害や年齢により身体的課題を抱える人びとを対象とした支援を実施しました。
 前編記事に続いて、本稿では、②学校を対象とした支援について、ご紹介します。
 


学校衛生クラブへの研修にて、グループワークの様子

 
 学校における水と衛生について皆さんが想像する際、まず思い浮かべるのは何ですか。手洗い、清掃活動、そして清潔なトイレではないでしょうか。支援対象とした学校では、給水網が届いておらず、水道からの水が使えなかったため、タンクに溜めた雨水を利用していました。雨水タンクの数も十分ではなく、雨量が少ない時期にはほとんど水がなく、難民が増え続け、2,000人以上の生徒を抱える中で、手洗いも掃除もままならない状況でした。トイレの数も、例えば女子生徒用のトイレは、トイレ1基当たりの利用生徒数が103人と、短い休み時間の間に利用することが難しい状況でした。トイレ1基当たりの利用者数が多いのにもかかわらず、水がないため掃除ができないという不衛生な環境から、感染症の蔓延が懸念され、また汚いトイレを使いたくないと、トイレを利用せずに学校の建物の陰に隠れて野外排泄をする生徒や、トイレを理由に学校を休む生徒もいました。
こういった課題に対応するため、本事業では、給水網を学校まで延長し、かつ手洗い場4か所を設置することで、水道からの水を利用して手洗いができる環境を整えました。給水網を流れてくる水の量も時期によって異なることから、追加で雨水タンクを1基の設置も行いました。また、生徒と教員が利用できるトイレを合計12基設置し、例えば女子生徒用のトイレは、トイレ1基当たりの利用生徒数が66人と、使用状況の改善を図りました。
 


建設したトイレの壁には衛生啓発のメッセージを込めた絵を描きました

 
 これらに加えて、月経衛生管理(月経をめぐる衛生管理)に関する理解や知識の不足、設備や備品の不足が大きな課題となっていました。月経中の女子生徒がからかいの対象となったり、衛生的なトイレも、万一経血が漏れてしまった際に着替えられる更衣室や水洗いができる設備もなく、また経済的に困難な家庭環境の生徒たちにとって、月経衛生用品を購入することが困難であったりと、多くの女子生徒にとって月経中に学校に行くことが難しい状況でした。このため学校を休むことになり、学業に遅れが生じ、小学校を卒業に時間がかかり、途中で辞めてしまう女子生徒も、ウガンダにはたくさんいます。
 こういった課題に対応するため、本事業では、まず、上述の水へのアクセスを確保する支援を行ったうえで、女生徒用の更衣室を設置し、洗濯や水浴びができる設備を整えました。月経適齢期(10才以上)の女子生徒640人には、再利用可能なナプキンや下着、洗濯に利用する石鹸やバケツをセットにして配布しました。また、設置した更衣室には、学校に来て月経衛生用品や着替えがなくて困った女子生徒が使えるように、予備の月経衛生用品や下着を備え、女性教員が月経や身体のことで困った時に相談できる体制を整えました。
 


月経衛生に必要な布ナプキン,下着,洗濯用の石鹸やバケツを受け取った女子生徒たち

 
 さらに、月経に関する偏見や理解不足に対応するため、学校の3~7年生の生徒30人が所属する「学校衛生クラブ」の生徒を対象に研修を行いました。研修は、月経に関することのみではなく、効果的な手洗いの仕方やトイレの適切な利用の仕方など基礎的な衛生習慣に関する内容も含め、また再利用可能なナプキンの作り方の実践も取り入れました。支援実施後に実施したモニタリングでは、男子生徒も女子生徒と一緒に活動し、クラブ活動の一環として、学んだことを集会などで他の生徒たちに伝える活動を実践していることが確認され、また、事業で配布した清掃用具を活用して、校内清掃活動を行っていることが確認されました。教員や生徒の主体的な努力のもと、支援で設置した水と衛生に関する設備が今後も適切に管理、利用され、生徒たちが尊厳のある衛生的な学校生活を送れることを期待しています。
 
本事業は、ジャパン・プラットフォームからの助成金と、みなさまからのご寄付によって行われました。温かいご支援、ありがとうございました。
本事業で実施した他の支援活動については、ぜひ、後編記事「ウガンダ西部チャカII難民居住地区における給水衛生支援~ 完了報告③身体的課題を抱える人びとを対象とした支援 ~」をご一読いただけると幸いです。
 
 
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